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煙を深く吸い込む、吐き出してもう一呼吸。

煙を深く吸い込む、吐き出してもう一呼吸。
着物の袷を整えたら煙草を揉み消す。
古ぼけた階段を睨みつけ、土方は意を決してそれを登り始める。
 

万事屋の立てつけの悪い扉が軋みながら開く音。
家主の銀時は階段を登ってくる足音こそ聞こえてはいたが、まさかノックもなしで侵入されるとは思わず慌てて木刀片手に玄関へと向かった。
「ちょっと~、誰ですか?不法侵入ですよ?警察呼びますよ?」
「…俺が警察だ。」
相も変わらず無愛想な声と三白眼。
「土方くん?なに、どしたの元旦から?」
「好きだ銀時。」
いつもと変わらない無愛想な声と三白眼。
まるで戦いでも挑むような口調で、はっきりと土方は口にした。
「…え?なに??」
ぽかんとする銀時を気にすることなく、土方は「じゃぁ、言ったからな。」とすぐに背を向け出ていく。
「いやいや、ねぇ、ちょっと??」
「追いかけてやるヨロシ。きっとまってるネ。」
テレビの前に座った神楽が、銀時に向かって行けとばかりにしっしっと手を振る。
「かっ、神楽チャン!?」
「とっとと行けヨ。銀ちゃんだってマヨネーズのこと好きなくせに。」
にっと笑う少女から銀時は慌てて顔をそむけた。
「っせーー!!ちょっとわけわかんねぇから問い詰めてくるだけだっ!!」
 

ブーツも履かずに飛び出した男に、神楽はケラケラと笑った。
「素直じゃないアル。少しはマヨネーズを見習うといいネ。」
テレビ画面には、お通のライブが生放送で流れている。
時々映る親衛隊の中に眼鏡を見つけて、また笑いながら煎餅を噛み砕いた。
 

「土方くんっ!!」
階段をちょうど降りきった土方を、上から身を乗り出して銀時が呼びとめる。
「ん?」
その指にはすでに煙草の箱を摘んでいる。
マヨネーズ型のふざけたライターもいつも通り。
「…ちょっと、さ。なんなの?」
「…なんなのっつーのは?てめぇのことが好きだから、それ言いに来ただけだ。」
鋭い瞳が、太陽を背中にした銀時を見上げて眩しかったのか少しだけ揺れる。
「っ!!…ねぇっ、そんなこと言うだけ言って帰るわけ?真撰組副長サマはその答えを聞く勇気もないわけだ。」
裸足のまま階段を降りながら叫ぶ銀時に、土方は少しだけ笑った。
「ねぇな。そんなの怖ぇ。」
襟巻に頬を埋めるようにしながら、土方はまた笑う。
「なんかもう、言わないのも怖ぇし言うのも怖かったから言ってみた。そしたら聞くのも聞かないのも怖ぇからもう帰る。」
「不必要に清々しいな、てめぇはよぉ…。」
がっくりと肩を落とす銀時に、ふんっと土方はいつも通りの仏頂面をする。
「言うことは言った。もう帰る。」
「帰る帰る帰るってぇっ!!てめぇ聞きやがれこのマヨネーズ野郎がぁっ!!好きだよ、俺だってテメェが好きですよっ!!なんだよ、ありえぇよ、なんなんデスカてめぇわぁっ!!銀さんが裸足で追いかけてきてんのにその態度っ!!!ふざけんなよっ!!」
「…ふぅん…。」
「っっ!!!!?なにっ、ちょ、ちょっとなんなのこの子っ!!ふぅんってなんなのっ!???」
激昂してどんどん声の大きくなる銀時とは反対に、土方はだんだんと静かになっていく。
「…。」
「なんとかいえっ!!!」
「…や…、俺が言いに来た…わけだし。」
「んだとてめぇ土方コノヤロウっ!!」
むんずと胸倉掴んでぎゃぁぎゃぁ喚く銀時に、土方はぼそぼそと呟く。
「んだよ…、これ以上なんて言えばいい…。」
指にはさんだ煙草から、灰が落ちる。
「てめぇはぁぁぁっ!!!ナニ?いい年こいたおっさんが『好きです』『俺も』で終わるのかっ!?キモっ!そんなに銀さんピュアキャラしてないからっ!!やめてくれるそういうのっ!!!こんくらいしてみやがれっっ!」
 

重なった唇から、煙草の匂いがする。
銀時は凍える裸足で、腹立たしそうに土方を蹴り飛ばした。

 

×××

ちゅうで終わるのかっ(恥っ)
いつもとはちょっと土方さんのキャラを変えてみましたがどうだろう。
自分的にはいつもよりよほど土方攻めにできたと思う(勘違い?)
2010年1月2日

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