[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
指先が落ち着かない風だから、そっと灰皿を差しだしてやる。
「わりぃ。」
ちょっとすまなさそな顔。
でも、そんなにうまそうに煙を吐かれたら何も言えない。
形のよい唇が慣れた仕草で煙草を咥える。
吸ってみたい、なんて。
気になる人の真似がしたいなんて。
そんなのまるで馬鹿な少女みたいで出来やしない。
本当は引きだしの中に同じメーカーの箱があるけど、言えるわけない。
冷蔵庫の中には、あまりつかわないマヨネーズがあるけど、これも内緒。
さらさらの黒髪に触れてみたいけど、興味ないふり。
腰に差した刀が変わったことに気づいたけど、気づいてないふり。
立ち上がりざま、上着を差し出してやりそうになったけどぐっとこらえて。
もうごまかしきれないほど俺のアンテナはお前を受信し続けている。
お前は?
なぁ、土方、テメェの目は何を映してる?
俺のこと、少しは気になってる?
わざと知らん顔してる俺のこと、まさか気づいてる?
気づかれたら負け、でも気づいて欲しい。
いい年こいて何やってんだって思いはすれど、こればっかりは手に負えない。
剣でばっさりたち切っちまえば楽なのに。
あぁ、その涼しい目で、低い声で、俺を。
2009年12月16日
2009年12月30日再UP
≪ 煙を深く吸い込む、吐き出してもう一呼吸。 | | HOME | | 「おーい、そこの酔っぱらい。」 ≫ |