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強引に肩を抱く手。

強引に肩を抱く手。
顎をぐっと引き上げられ、唇が重なる。
歯を割らない銀時に、土方が焦れて眉を吊り上げる。
「…抵抗する気か?」
「……何様だてめぇ…?」
低い土方の声に、刃のように尖った声がかぶさる。
強い力で壁に押さえつけられ、銀時は身動きがとれない。
「手をどけろ。」
「可愛くねぇな。んだよ、なにが気にくわねぇ?」
「その上から目線が不愉快だ。俺を抱きてぇならそれなりの扱いしろ。」
よっぽど虫の居所が悪いのか、銀時はきりきりと眦を吊り上げる。
「どうしろってんだよ、いつもと変わんねぇだろ。」
「ざけんなっ!!いいっ、もう触んな、帰れっっ!!!」
「…俺もそう気が長いほうじゃねぇんだが?あんま我儘ばっかいうなら無理やり抱くぞ。」
「死ねっ!!不愉快だ、抱かれねぇっ!!」
ギロリと睨み上げる深紅の眼差し。
この瞳が溶けていく様がみたい。
反抗するのを押さえつけて抱いてしまったら…。
気まぐれな銀時のことだ、このまま無理やりしたところで明日になればケロリとしているだろう。
それはそれでなかなかの趣向だな、などとぼんやり思ったが。
どうやら銀時の機嫌は相当に悪いらしい。
牙を剥いて土方に歯向かおうとする。
「どけ、触るなっっ!!!」
「…腕力じゃ俺にかなわねぇだろ?」
にやにや笑う土方が心底憎いといいたげに、銀時の瞳が剣呑な色を浮かべる。
「土方くん、いいかげんにしろよ。…神楽起こすぞ?」
「…押し入れか。あの娘、一度寝たらロケット落っこちてきても起きねぇだろ。」
「あれでも夜兎族だからな、危機感知能力は俺らの比じゃねぇんだよ。本気で俺が声上げたら戦闘モードで起きてくんぜ?」
「襲われそうになって女の子に助けを求めんのか?」
「文句あっか?楽してテメェから離れられんならそんなことどうでもいいんだよっ!」
「んっとに今日は機嫌悪ぃんだな…。わかったよ、帰る。」
「そうしろ糞がっ!!」
力をゆるめると、銀時がすぐに離れていく。
白くて温かい身体が離れ、手のひらがものさびしい。
確かに今日は少し強引に迫ったと自覚している。
最近毎日仕事が遅くまでかかりストレスがたまっていた。
(捌け口にしようとしてた…かもなぁ。)
ちゃらんぽらんでへらへらとして、道徳や貞操観念にもっとも程遠く見えて、その実。
(けっこうお安くねぇのなぁ…。)
そんなところも…、思って。
「惚れた方の負け、な。」
玄関を出て、土方は呟いた。

 

2010年5月22日

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