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近藤×妙 「あはん、土方くん愛してるぅ。」

「あはん、土方くん愛してるぅ。」
通りすがり、投げキスよこす阿呆面。
白くてくるくるの頭が目立つ。
ぎゅっと眉間に皺を寄せて、今は巡回中の真撰組鬼副長。
莫迦な男に動揺している場合ではない。
ぎゅっと眉間に皺を寄せる土方に、隣を歩く沖田がにんまりと笑った。
だが、その青年も銀時の隣を歩く傘を差した少女を見つけて、ほんの僅かに顔を強張らせる。
ゆっくりと距離が縮まる。
あと少し、あと少し、すれ違うまで後わずか。
にやける銀時、喧嘩をしかけようとする神楽。
しかめっ面の土方、そわそわする沖田。
だが、その距離もあと1メートルというときに、どこからか咆哮が響く。
「おーたーえーさぁーーんっ!!」
「しつけぇって言ってんだろうがぁ、こんの糞ごりらがぁぁぁっ!!!」
ドゴォォッという重い音と、懲りずに女性の名を愛しげに呼ぶ男。
わき道からものすごい勢いで大柄な男が飛びだしてくる。
いや、飛び出すというよりは吹っ飛んできた。
向かいの塀に激突し、それでも痣だらけの顔をくしゃくしゃに綻ばせて立ち上がる。
「お妙さん、本日も凛々しくお美しいっ!!」
「私の道を塞ぐなっつってんだろゴリラ。消滅しろっ!!」
近藤の後からゆっくりと姿を現したのは、薄桃色の着物をまとった志村妙。
美しい顔に血管を浮かべながら、拳をぐっと振り上げる。
見るも無残に叩きのめされる近藤だったが、彼はお構いなしで妙に話しかけているようだ。
「近藤さん…、あんた局長っつぅ立場を…。」
「いいんじゃなぁい?好きな人にあんなに大声で好きって言えるなんて。幸せじゃん。」
くすくす笑う銀時に、神楽が青い目をきょとんと見開いた。
「ゴリラは幸せか?」
「幸せだろ。スキって言って、無視されねぇんだから。」
「…ふ~ん?」
不自然に視線をそらす土方には気づかず、神楽は不思議そうに近藤を見た。
「近藤さんも懲りねぇですねぇ。」
「あんだけかまってもらえりゃ、脈アリって思っちまうよ。」
「へぇぇ、そんなもんですかぃ?」
「そ~よぉ。そういちろうくん、女は嫌いな奴には返事もしないさ。」
にぃぃっと唇を吊り上げた銀時に、「へぇぇ…。」と沖田は平坦に返した。
「いくぞぉ神楽ぁ。買い物遅くなると新八に怒られっからなぁ。」
「あいあいさーネ、ぎんちゃん。」
「あばよぉチャイナ。今日は生憎時間なくてボコにしてやれねぇが、今度あったら覚悟するんだなぁ。」
「うっさいキツネ!!オマエなんて傘使うまでもないヨ!!」
そう言って『べぇ』と舌を出した。
「…そうかぃ。」
返事があったことに、沖田はちょっとだけ肩をすくめ、そしてひらりと手を振った。
神楽がツンと踵を返し、後ろ姿の傘を揺らす。
「じゃ~ね~、土方く~ん!!」
ひらひらと手を降る白い着物の男に、黒い男はやはり難しい顔をしながら、ひとこと「またな」と返した。
 

「銀ちゃん、どうしたネ?なんでそんなにウレシそうな顔スルよ??」
「ん~、するどいねぇ神楽。理由までわかるようになったら一人前なんだけどなぁ。」
「どういうことヨ??ワタシを子供扱いする気アルカ?」
「そのうち嫌でもわかるようになるさ。そのあとどうするかは、お前次第だけどなぁ。」
「???」
くすくすと、男はいつまでも笑い続けた。
 


2010年7月14日

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