ケーキもクッキーもチョコレートも。
どれでも買ってやる。
飴でもお汁粉でも桜餅でも。
何個だって買ってやる。
てめぇの『うまいっ！』が聞けるなら、安いもんだ。
 

じっと覗きこまれて目をそらす。
滑稽だろ。
お前を喜ばす方法がこれ以外わかんねぇなんて。
甘い言葉も優しい仕草も、俺には難しすぎて。
抱きしめて、キスをして、身体交わして。
そんなので繋ぎとめてるつもり。
けど、ホントは顔がみられりゃぁそれでけっこう満足してる俺がいる。
憎まれ口もちゃらんぽらんな態度も。
反発してみては、言葉を交わせる幸せに。
会っては喧嘩して、離れてみてはその銀色の髪が瞼の裏でよみがえる。
条件反射で噛みついて、剣を抜いて、莫迦みたいにぶつかって。
 

いつもはどこみてるんだかわからねぇ、その目がまっすぐこっちをみる。
赤々と燃える瞳に、何と返せばいい。
「土方くん。」
子供扱いされても、何も言えない。
総悟にからかわれても仕方ない、まだ名前も呼べないなんて。
煙草を吸うふりで目を伏せる。
 

見つめ合って、愛してる、なんて。
剣を抜かれるより、銃口を前にするより、軍艦に向き合うよりもよっぽど窮地だ。

×××

２０１０年４月２９日
２０１０年５月８日再UP。