忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

土方×銀時(銀×高杉?) 「なぁ…、勘弁してくれよ…。」

「なぁ…、勘弁してくれよ…。」
銀時の木刀が受け止めた土方の剣にぐっと力がこもる。
「どけ…。そいつはテロリストだ。」
ごもっとも、背中の男がどれほどの危険人物か知らないわけじゃない。
むしろ誰よりも知っている。
憎しみに駆られた、ただの狂犬だ。
「悪いね、大串くん。」
銀時の謝罪などに耳を貸す必要無しと判断したか、土方の瞳がすっと細まる。
「どかねぇならてめぇも同罪だ、叩っ切る。」
合わさった剣を離すと、再度間合いを測る。
背中の男は何を思っただろう。
(顔半分は包帯だし、分かるわけねぇか。)
苦笑した銀時の呼吸を読んで、土方が鋭く切りかかってくる。
(土方君の得意技は前見たし。ごめんね…お前じゃぁ俺を倒せないよ。)
予想通り、鋭く軌道を変えて刃が銀時を狙う。
そこには一切の躊躇いなどない。
ぎりぎりかわしても、猛然と刃が追ってくる。
だが、それでも銀時が苦戦するほどの技術ではない。
体制を崩す振りで、木刀で足を狙う。
だが、一瞬早く土方が鞘で防ぐ。
近づいては間をとり、また肩がぶつかる。
「銀時ぃ、ありがとよぉ。」
高杉がくすくすと嗤う。
いやらしい笑みが見えるようだ。
(馬鹿な男だ。)
自嘲か、悲哀か、同情か。
全て違う気もするし、正直な気もする。
「じゃあな…。」
ずっ、ずっ、と草履の音がする。
 

艶やかな着物姿を、もう一度見たかった。
黒々とした髪に、もう一度触れたかった。
一つ目が、もう一度輝くのを見たかった。
 

土方の意識が高杉へと一瞬だけ向く。
その隙をついて、鳩尾へ柄を埋め。
ぐっと強張り、屑折れる土方を受けとめる。
完全に気を失ったことを確かめ、銀時は高杉へと視線をやった。
小さくほっそりとした後ろ姿は、いつもどこか寂しげだ。
 

もう一度、男が笑ってさえくれたら。
「晋介…。」
呟いたのが聞こえたか、一瞬高杉は足を止めたが。
振り向くこともなく、また真っ直ぐと歩を進めた。
銀時はそれ以上追うでもなく、背中が消えるまで見つめ続けた。

 

×××

2009年12月5日
2009年12月30日再UP

PR

Copyright © 銀魂 : All rights reserved

「銀魂」に掲載されている文章・画像・その他すべての無断転載・無断掲載を禁止します。

TemplateDesign by KARMA7
忍者ブログ [PR]