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「お、土方くんじゃない。」

「お、土方くんじゃない。」
相変わらず能天気な声。
酔ってるわけでもあるまいに、ふらふらとした足取り。
ふわふわ跳ねた銀髪がひと際目を引く。
風を受けて翻る渦巻き模様の着物ももはやお馴染みの。
「…無職が、また散歩か?」
「ひでぇなぁ、プーじゃないの、フリーなの。」
わかった?と、人差し指を立てられ上目づかい。
そのどこか子供のような仕草が可笑しくて。
「…団子でも喰うか?」
甘いものには目がないはず。
「おっ、なになに奢り?ラッキー!!」
にかっと破顔され、それでも俺は仏頂面。
もしもつられて笑ったら。
もう戻れない気がするから。
 

「おばちゃん、団子2串ねっ!」
「んっとにてめぇは遠慮がねぇなぁ…。」
「ほれ、てめぇの分。」
2本とも食べるのかと思ったのに…。
差しだされた一本に、苦笑。
「俺の分かよ。」
「遠慮すんな。」
頬をもごもごさせて、銀時は至極幸せそうだ。
茶屋の前、腰かけて。
男二人で甘味とは。
銀髪が目の端で揺れる。
 

「ごちそうさま、土方くん。」
これっぽっちの甘いもので。
満足してくれるなんて。
今日はずいぶんといい日だ。
喧嘩せずにこうして手を振る。
さぁ、あと少し、巡回の時間は残っている。
「じゃあな。」
「今度万事屋に遊びに来いよ。うちは禁煙してないからさ。」
ひらひら振り返された手に、少しだけ触れたい。

 

×××

2009年9月6日

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