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高杉+神楽+桂 「…お前……。」

「…お前……。」
編み笠で顔はよく見えないが、この匂いは間違いない。
神楽は傘を持つ手に力を込めた。
高杉晋助。
攘夷派のなかでもっとも過激で危険な男。
昼間の呑気な歌舞伎町を散歩しているなぞてんで似合わない。
「なんでまだこんなところふらついてるネ。」
「よぉ…、銀時のとこの夜兎かぁ。」
高杉はニィと唇を歪めた。
細い指で煙管を咥える。
「なにしてるって聞いてるアル。」
「俺がどこで何してようと自由だろぉ。」
「お前っ…また銀ちゃんにちょっかいかけるつもりカ?」
神楽の青々とした瞳に怒りがともる。
先の件で負った銀時の傷は深い。
生々しい傷痕がくっきりと銀時の腹に残っているのを、神楽は知っている。
「俺がちょっかいかけたいのは銀時限定じゃねぇがなぁ。ま、安心しろよ、しばらくは大人しくしててやる。」
編み笠から隻眼が覗く。
あの夜みた、蛇のを彷彿させる陰湿な光をもっていた瞳が今はただ静かに沈んでいる。
「本当だろうナ?」
「うるせぇなぁ。しつこいのは嫌いだ、あんまり噛みつくようなら子供でも殺すぞ。」
薄い唇から血の色をした舌が覗く。
この男が戦うところをみたことはないが、ピリピリと張り詰める空気を感じて神楽は傘を再び持ち直したとき、なんとも呑気な声がした。
「リーダーではないか。」
「ずらっ!!」
「ずらじゃない、桂だ。」
こちらは笠もかぶらず、平気で素顔を晒している。
目立つトレードマークの長髪が風に揺れる。
「高杉…、お前はまだこんなところにいたのか。」
「……。」
「まったくお前というやつは。指名手配犯が幼女に手を出しているのが警察にばれたらどうする。」
「だしてねぇよ…。」
「リーダーもだ。こいつは銀時よりもたちが悪い。男の趣味に口を出すつもりはないが、それでもこの男は止めておいたほうがいい。」
「手を出されてもないし好きでもないアル。」
突然現れたとんちんかんな男に、張り詰めた空気は霧散した。
高杉とて、さすがに神楽と桂の2人を相手に暴れようとは思わないだろう。
興をそがれた風に彼は背を向けた。
「ずらぁ、せいぜいこのお気楽な街を守るんだな。それから夜兎、俺につっかかってくる度胸だけは認めてやる。」
そう言い残し、小柄な男はまたふらふらと歩いていく。
「ずら、いいのカ?あいつほっておくと危険ネ。」
「リーダー、ずらじゃない桂だ。大丈夫さ…、わざわざ暴れる前に俺たちの前に顔を出しているうちは…きっと。」
神楽が見上げれば、懐かしそうにどこかをみる桂がいる。
「お前らは小さい時から友達だたアルか?」
「ん?なんだリーダー、興味あるのか?そうだなぁ、友達というか悪友というか。たまには思い出話も悪くない。少し昔話でもするか。リーダーは団子が好きか?あんみつの方が好きか?」
「銀ちゃんに男について行っちゃだめって言われてるヨ。」
そう言って笑う神楽の頭を一度撫でると、桂は万事屋の方へ向って歩を進めた。

 

×××

2009年9月20日再UP

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