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小柄な体に派手な着物、編み笠に煙管。
次に街中であったときには、なぞと剣を向けたが。
さてどうしたものか。
桂はふぅとため息一つ、少し足早に男を追った。
気配に気づいたか、男の方は足を止めた。
「ずらぁ…。」
「ずらじゃない、桂だ。まったく貴様といい、銀時といい…。」
男は笠の陰から隻眼を覗かせた。
きゅっと目じりの吊った瞳は相変わらず可愛げがない。
「どうすんだぁ、街中で会っちまったじゃねぇかぁ。」
歪めた唇も同様、可愛くない。
「ふん、なんのことだか皆目わからぬ。」
高杉は桂の様子を窺うようにして見上げてくる。
「最近はどうしている?」
なんでもない世間話に花が咲くわけもなく、高杉はふんと鳴くと煙管を咥えた。
「どうもこうも。つまんねぇ世の中をただ漂ってるだけさ。」
着物に舞う蝶のように、高杉はまたふらりと歩き始める。
翻る裾から覗く足首は、記憶よりもまた少し細くなった気がして桂もまた歩を進める。
「ちゃんと食っているのか?」
「説教か、笑えるねぇ。俺なんぞくたばったほうが世のためだろうによぉ。」
「そうだな…。」
薄い肩が可笑しそうに震える。
高杉はちらりと桂を振り返った。
「銀時は元気か?」
「あぁ、相変わらず馬鹿だ。」
「辰馬は?」
「あぁ、昔と同じく馬鹿だ。」
「お前は?」
黒髪のせいでより一層白さを際立たせた包帯が痛々しい。
「俺も変わらずのんびりしている。」
「…そうか。」
煙管を咥える薄い唇が、ほんのわずか笑みを作る。
吐きだされた紫煙は、ゆらゆらと青空に交る。
2009年9月20日再UP
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