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ととととととんっ!!
とととととととととととんっ!!!
隣で軽快に包丁を握る少女に、銀時はじっとりした視線を送る。
視線に気づいた神楽が銀時を振り仰ぐ。
「なにヨ??」
「…いや…なんつぅか。」
神楽のまな板の上には綺麗に切りそろったかぼちゃが山になっている。
ととととん、ととととととんっ!!
まるできゅうりでも切るようなスピードでかぼちゃが輪切りになっていく。
「なにヨ?いいたいことあるならはっきりいうヨロシ。」
ぴっと包丁を向けられ、銀時は持っていたジャガイモごと手を上げて降参の仕草をする。
「じゃがいもなんて硬ぇもん、よくそんなにさくさく切れるなぁ、と。」
そのわりにまな板がぼろぼろになっている様子はない。
「力コントロールするの、もうだいぶ上手くなったネ。」
楽しそうに言う神楽に、銀時が頭を撫でてやれば擽ったそうに首を竦める。
「遊んでないで銀ちゃんもちゃっちゃと皮むくネ。」
鍋にかぼちゃを入れながら、神楽が銀時をせかす。
銀時の男らしい大きな手が、小ぶりのナイフでするするとじゃがいもの白い中身を晒していく。
見上げれば、鼻歌なんぞこぼしながら、楽しそうに。
不思議な男だと思った。
普段はぼんやりだらだらと生きているくせに。
こうして腹が減ったと言えば、きちんとご飯を作ってくれる。
手伝いたいと言えば、狭い台所にも関わらず文句ひとつ言わず入れてくれる。
最近気がついた、神楽が好きな風に変わっている味付け。
「どした?かぼちゃに火はとおったのか?」
ぼんやりしていた神楽に、銀時が声をかける。
「あっ…、んと、もちょっとヨ。」
「あんま強火にすんなよ~、焦げるから。」
棚から塩胡椒醤油に砂糖。
胡椒のミルを片手で器用に挽くと、独特の匂いが広がる。
反対の手では砂糖を匙で計り、「もちょっと甘くするかなぁ。」などと呟いて。
不思議な男だと思った。
さりげなくて、見えないくらい小さな優しさをくれる男に、神楽は小さく笑う。
2009年10月18日
2009年11月20日再UP
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