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桂+高杉+土方 どろりと頬を伝う、血液の匂い。

どろりと頬を伝う、血液の匂い。
砂の匂い、埃の匂い。
転がった剣を拾うよりもまず、土方は胸のポケットから煙草を取り出した。
がきぃん…。
鉄同士がぶつかる重い音が耳にやかましい。
地面に座り…というより、もはやなんとか塀に背中を預けているだけの状態で土方はそこにいた。
煙を胸一杯に吸い込み、痣になり重い瞼を無理やり上げる。
「なぜそいつを庇う、ずらぁ?」
ひひひ…っと、いやらしく笑っているのに、男はまるで泣いているような眼をする。
鍔のない剣を構え、またふりあげる。
ぶつかり、距離をとる間もなく高杉は桂へと攻撃をしかけていく。
対峙する桂は対照的に、防戦一方だ。
「気まぐれ、だ。」
黒い瞳、冷めた口調。
悲鳴を上げるような高杉と、影のような桂。
激しい剣のぶつかる音。
「もう少しで真撰組の副長様の首がとれたのになぁ…。」
高杉が懐刀抜く。
2本の剣を難なくかわし、桂は無言だ。
「いいだろぉ、別に。お前だってそいつが邪魔なはずだ。」
追撃、追撃、追撃。
銀色の軌跡が幾重にも弧を描く。
銀色の月を受けてなお、桂の長い黒髪は闇夜に溶けるように深く。
高杉甲高い嗤い声よりも、青白い桂の頬が不気味だ。
「桂…小太郎。なぜ俺を庇う?」
土方の声に、ようよう桂は口を開いた。
「煙草を吸えるくらいなら怪我は大したことないな。」
「質問に答えろ。」
「気まぐれだと言っているだろう。この狂犬にまた噛みつかれないうちに帰れ。」
「んっとにてめぇは…うざってぇなぁっ!」
喚く高杉の剣をやすやすと受け、桂はまた土方に話しかける。
「お前のことは気に食わないが。まぁ、昔の友達が…泣くからなぁ。」
それは高杉のことを言っているのか、それともあの銀髪のことを言っているのか。
桂の剣が音もなく滑り、高杉の獲物を真っ二つにする。
「ほら、もういいだろう。」
ぎらぎらと瞳を震わせる高杉に、桂は静かに声をかける。
黒髪が月の光を吸い込むように揺れる。
土方は煙を吐き出し立ち上がった。

 

×××

好きキャラは強すぎの法則。
桂大好き。
2010年3月30日
2010年5月8日再UP。

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