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「土方さ~ん、入りますぜぃ。」
声が聞こえるより早く障子の滑る音。
いい加減なれたもので、土方は文机に向かいながらあぁだかおぅだか声を返す。
とことこ畳みを踏む小さな音、とすっと背中にかかる重み。
「…なんだ?」
どうせ聞いたところで答えなど返ってはこないのだけれど。
もうすぐ書類も書き上がる。
すでに深夜になろうとするが、我儘な青年を甘やかしてやるくらいの時間はある。
背中が温かい。
肩越しにちょっと見かえれば、つやつやの栗毛がいつもどおりしっとり濡れている。
「来るなら髪かわかしてから来い。」
「へぃ。」
変わらない、気のない返事。
寂しくなっても、疲れても、悩んでいても。
どうしようと思う前にここにくればいい。
背中くらい貸してやる。
明日には、いつものふてぶてしい1番隊隊長でいられるように。
夜の帳が降りたら、あるがままの姿になればいい。
弱いところも不器用なところも、素直なところも。
「仕事、まだやってるんですかぃ。」
「もうすぐ終わる。」
「ふぅん…。」
仕事の邪魔にならないように、静かに呼吸を繰り返す。
大人しい猫のように、総悟はくあぁと欠伸をこぼした。
土沖と見せかけて、カプになってなくっていちゃいちゃしててもいいと思ったり。
2010年3月6日
2010年5月8日再UP。
≪ 桂+高杉+土方 どろりと頬を伝う、血液の匂い。 | | HOME | | 土方×神楽 「てめぇは…万事屋んとこの…。」 ≫ |