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「てめぇは…万事屋んとこの…。」
木の下で座り込む神楽を見つけ、土方は思わず声をかけた。
「……。」
ちらりと視線だけ上げると、神楽はまたぐったりと幹に凭れた。
「おい…?どうした?」
膝をついて顔を覗きこめば、元来の肌の白さだけではないだろう、顔色が悪い。
そういえば夜兎という種族は日の光に弱いのではなかったか?
神楽のそばにいつもの蛇の目傘がない。
「もしかしてさっきまで降ってたから…、傘ねぇのか?」
雨だと傘をささないのか?
矛盾を感じつつも、どうやらそれが正解らしい。
「うるさいね…マヨネーズ…。」
喘ぐようにしながら、それでも憎まれ口を聞く少女に、土方は苦笑する。
「小憎らしいとこは万事屋とそっくりだな。」
そう言って着ていた隊服を脱ぐと、神楽にかぶせてやった。
「なにヨ…?」
不審がる神楽を意に介さず、土方はその小さな身体を軽々と抱きあげる。
力の抜けた細い体は柔らかで温かい。
「なにするネっ、離せヨっ!!」
きゅっと眉間に皺をよせるが、その身体はほとんど動くこともなく大人しい。
「黙ってろ。具合悪いんだろ?とにかく万事屋まで連れてってやっから。」
「マヨネーズなんかに…助けられたくないヨ…。」
「誰がマヨネーズだ。1回は大目にみてやっけど3回目はねぇからな。」
白い肢体を黒い布で覆い、なるべく日光を避けながら歩く。
布で包んだ人間を抱えて歩く姿はいささか…、いや大層不審だろう。
周りの人間から奇異の視線がとぶが、土方はむっつりと黙ったままだった。
「お前…変人扱いされてるネ…。」
もごもごと気まずそうに呟く腕の中の生き物に、男はいつも通りの仏頂面で鼻を鳴らす。
「いつものことだ。」
「マヨネーズが…。」
小さな声で呟いた神楽だったが、それ以上もう何も言わず大人しくなった。
2009年12月17日
2009年12月30日再UP
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