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薄桃色の着物から覗く首筋はどこまでも白く。
不思議な銀色をした地毛に似たつけ毛が揺れる。
扇を振り下ろす勢いで開けば、煌びやかな金色がはじける。
目線の高さから頭上へ、そしてひらひらと翻しながら扇は舞い続ける。
けだるげに伏せた瞳、長いまつ毛の影が濃い。
薄暗い照明のなか、妖艶に艶然とそして儚く。
三味線の音が大きく小さく。
時折その瞳に寂しそうな笑みが浮かぶのを、横目で桂は気が付いていた。
ひいぃぃぃと悲鳴を上げる笛の音を合図に、銀時が扇を旋回させる。
くるりくるりと、扇は花弁のように揺れ続ける。
桂の扇と重なり、また離れ。
銀時のことを考えていたが、桂もふと自分の女装姿の惨状を思いだし、内心苦笑した。
気だるげ?
いや、面倒臭いだけか…、いや。
ぺぺぺん…。弦の音が強く弾ける。
思いだすのは、黒髪の間から覗く切れ長の一つ目。
三味線を引くのが、高杉の唯一といってもいいくらいの趣味だった。
暇さえあれば、日がな一日縁側でつま弾いていたものだ。
坂本が遊びに誘っても、「いかない」の一言で。
結局4人して縁側で昼寝をしたり本を読んだり。
(懐かしな…。)
三味線の音を聞くと、どうしても思い出さずにはいられない。
ふと、銀時と目が会ったが、ふぃっとそらされてしまう。
やはり、銀時も思いだすのだろう。
幸せな思い出は、褪せることなくいつまでも鮮やかなままで。
2009年12月8日
2009年12月30日再UP
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